筋肉についてのお話〜part1〜

リハビリで指導を受けたことがある側の人、実際に指導してる側の人、どちらの人も、こんなセリフを誰もが聞いたり口にしたことがあると思うんですよね。

お尻上げをやりますよ!10回を3セットやりましょう!

膝をしっかり伸ばしますよ!10秒間伸ばしましょう!

ありませんか?ありますよね?白状しましょう。

私、言ってました。

一応根拠はあるわけですよ。ただ、情報がアップデートされていない、昔学んだことをそのまま使ってたんですよね。私の場合。

この回数や時間、もっと疑問に思うべきでした。常識は疑ってからねばなりません。

筋力訓練の見方が変わるかも?今回はそんな筋肉のお話。

トレーニングの原則

皆さんはどんな目的で筋力訓練をされますか?

“目的”

こいつが最強に大事です。

目的に応じて、手段は変化して然るべきなのです。回りくどいことは抜きにして、結論からいきましょう。

高強度:最大出力、中強度:80%出力、低強度:それ以下

筋力をつけたいのか、筋肉を太くしたいのか。目的によって手段は変わります。

少々勉強されている方やリハビリの先生方ならご存知のように、筋肉はすぐにはつきませんが、筋力は比較的すぐに強くなります。

これは筋に刺激を加えたことによる神経適応によるものです。筋肉の学習と言っても良いでしょう。

筋力訓練の目的がボディービルディングである場合は別ですが、リハビリを目的とされる方にとって筋肉を太くすることは大きな意味を持たない可能性があるということを紹介したいと思います。

どのくらいの負荷が適切?

対象の若い方を対象とした研究機関の研究であり、エビデンスレベルとしてはまだ低いものではありますが、2022年にこんな研究論文が発表されています。

Effect of daily 3-s maximum voluntary isometric, concentric, or eccentric contraction on elbow flexor strength
Sato S, Yoshida R, Murakoshi F, Sasaki Y, Yahata K, Nosaka K, Nakamura M. Effect of daily 3-s maximum voluntary isometric, concentric, or eccentric contraction on elbow flexor strength. Scand J Med Sci Sports. 2022 May;32(5):833-843. doi: 10.1111/sms.14138. Epub 2022 Feb 13. PMID: 35104387.

内容としては、“毎日3秒間でも最大筋力を発揮すると筋力が強くなった”というものです。注目すべきは、筋肥大効果はないが、力が強くなっている。という点です。

私が言いたいのは“3秒間力出せば筋力が強くなるんですよ”ということではなく、筋肉が太くならなくても力は強くなるんですよ。という点です。元々ある筋肉をしっかり使えるようになることで、力は発揮しやすくなるんですね。

勿論筋肉の太さに応じて力が強くなるということは周知の事実でので、筋肉が細いままでいいとは言っていません。

大切なのは “時期や目的に応じて負荷の設定を変える必要がある” ということですね。

頻度はどうしましょう?

負荷の強度が決まれば頻度の話になってきますね。ここでもこんな報告があります。

Greater effects by performing a small number of eccentric contractions daily than a larger number of them once a week

Yoshida R, Sato S, Kasahara K, Murakami Y, Murakoshi F, Aizawa K, Koizumi R, Nosaka K, Nakamura M. Greater effects by performing a small number of eccentric contractions daily than a larger number of them once a week. Scand J Med Sci Sports. 2022 Nov;32(11):1602-1614. doi: 10.1111/sms.14220. Epub 2022 Aug 9. PMID: 35908200.

著者は上の論文を書かれた方と同一で、最大で頑張れば少ない時間でも筋力が強くなることはわかったけど、どのくらいの頻度でやったら良いの?という疑問に応える形で半年後に論文を掲載されていました。

研究内容としては、6種類の3秒間最大収縮1日1セットを週1日実施 のグループ、6種類の3秒間最大収縮1日5セットを週1日実施 のグループ、6種類の3秒間最大収縮1日1セットを週5日実施 のグループに分けて比較しています。端的に言うと、週一日だけ少し頑張るグループと、週1日だけすごく頑張るグループと、週5日間少しだけ頑張るグループに分類している感じです。実施期間は4週間です。

結果としては、筋力の増加は週5日間少しだけ頑張るグループのみで認められていました。興味深いのは、週1日だけすごく頑張るグループでは筋の厚みは増えているのに筋力に変化はなかったという結果ですね。筋肉を大きくすることが筋力に直結しないことを意味していると考えています。

これらの結果は“週に1日だけすごく頑張るより、毎日少しずつ頑張った方が効果があるよ”、ということを意味しています(まだ対象人数が少ないので示唆しているとしか表現できませんが)。

ちなみに週5回実施の場合、1日の回数を増やしても筋力増加効果が大きくないことも示されていました。毎日コツコツ頑張れる人であれば、そんなに頑張らなくても良いということですね。朗報だと思いました。

まとめ

  • 筋力訓練をやるなら、負荷は高くないと効果がない
  • 筋肉が太くなることと筋力が強くなることは実は関係がないかもしれない
  • 筋力訓練は短い時間で良いから毎日やろう

いかがでしたか?研究が日々進められていることが実感できる内容だったのではないかと思います。

今回書かせてもらったことはまだまだ研究レベルの話なので、そういった説もあるよ程度に受け止めていただければと思います。ただ、十分に筋力訓練を考えるきっかけになるのではないかと思います。内科的な疾患の問題や栄養状態、既往による運動麻痺など、個々人によって状態は様々ですので、お一人お一人に合わせた課題設定がいかに大切かが分かりますね!

今後も時々こんな真面目な話を書いたりしていこうかと思います。見た方の参考になれば幸いです!

リアクラでは科学的根拠に基づいてお一人お一人に適した機能訓練を提供し、利用者様が活き活きと生きる人生の実現をお手伝いさせていただきます!興味がある方はコメントやお問い合わせからご連絡ください!お待ちしております!

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