転倒発生から考える転倒予防の考え方

ご無沙汰しております!

事業開始から早1ヶ月と半分が経ちまして、少し流れにも慣れてきたのでブログを再開していこうかなと思います!

2ヶ月に一回くらいは書いていきたいと思っております。目標!!

転倒リスクの考え方を変える

転倒予測を試みるような回帰分析を用いた研究は多く報告されており、

「どのような高齢者が転倒しているのだろうか」

という視点での分析は頻繁に行われています。

そんな中、「何故転倒しない状況があるのか」という視点の変換で転倒を捉えている研究があり、非常に面白いと感じていたので、一部論文を交えてお話させていただきます!

当デイサービスでも提供している内容になっておりますので、よろしければどんな目的で行なっているのか、興味を持ってもらえると嬉しいです!

どんな人が転びやすいのか

高齢者の転倒発生状況を調査した研究によると、高齢者の転倒のきっかけとなったのは、躓きや滑り、踏み外しといった足元の状況判断の不備によって発生しているケースが多いと報告されています。

純然たる機能低下の影響も勿論ありますが、それとは別に周囲の環境に適応できなくなること(身体的・認知的)で発生してしまうことも多いようです。そして、これら足元の状況判断の正確性をアセスメントする手法としてMulti-Target-Step(以下MTS test)というテストがあります。(図1:https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/archive/prev/news_data/h/h1/news6/2011/120301_1より引用)

MTS testは1m×10mの歩行路で3色のターゲット(10cm四方)を計45枚(各15枚)をランダムに配列し、指定した色のみを踏みつけて前進するというものです。速度ではなく正確性が求められる課題となっています。指示された色を踏み外したり、他の色を踏みつけてしまったりするのが悪いケースです。

やや虚弱な地域高齢者(要支援認定者)を対象にMTS testを実施したところ、36%の高齢者で踏み外しエラーが、27%の高齢者で踏み込みエラーが認められ、これらはいずれも転倒発生に関連していた。中でも踏み外しエラーは最も重要な指標となっており、15枚のターゲットのうち1枚でも踏み外しのエラーが認められている場合には、転倒発生に大きく関わるという結果となった。

山田実. “転倒リスクアセスメントツール 「Multi-Target Step」.” バイオメカニズム学会誌 38.4 (2014): 241-244.

これらの結果に加えて、特徴的な事実として踏み外しエラーを認める高齢者の多くは、方向転換時に左右の足を交差するようなスピンターンを用いており、転倒リスクの低い高齢者は左右の足を交差させないターンを用いていたという事実がありました!

何故、転倒リスクの高い高齢者はスピンターンを選択してしまうのか

これは、転倒リスクの高い高齢者は自身の身体機能に対する自信の無さや転倒に対する恐怖感に依存しており、目先の対象物(目の前のマットがどこにあるか)にのみ注意し、その先の経路がプログラムできていないことによるものと考えられます。視線が足元に集中していることで、いわゆる「行き当たりばったり」の移動となってしまい、不安定な方向転換を強いられることにより、転倒につながらふらつきが誘発されやすくなるということですね。

スピンターンの選択は動作そのものの危険性が高いだけでなく、着地地点の状況が不安定になる可能性があり、滑りや踏み外しを誘発する要因となりうると考えられます。つまりは、スピンターンを選択せざるを得ない状況になってしまうことが、転倒リスクを高める要因になっていると言えます!

MTSトレーニング

当デイサービスではこれらの論文をもとにMTSトレーニングを実施しています!

MTSトレーニングとはMTS testで使用する3色のカラーマットに2色を加え、最大5色でのMTSを実施するという方法です。移動先の選択肢を増やすことで事前に前方の認識が行われないと難しい課題となっています!各グループの歩行機能に応じて課題設定を行い、適切な難易度で実施を行なっています!

まとめ

今回は転倒リスクについて、身体機能ばかりでなく環境適応を目指すといいよ!という内容でお伝えさせていただきました。

当たり前ですが、やはり実際の生活に活きる課題をしていくことが大切です!自分のことは自分でできる、元気な100歳を目指して、リアクラで科学的根拠に基づいてお一人お一人に適した機能訓練を提供し、利用者様が活き活きと生きる人生の実現をお手伝いさせていただきます!

興味がある方はコメントやお問い合わせからご連絡ください!お待ちしております!

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