前回は筋力について、なんでその回数や持続時間なの?ってことについてお話しましたね!
まだご覧になられていない方は先にそちらをご覧下さいませ↓↓↓
さて、今回ですが筋肉についてのお話を加齢変化に紐付けてお伝えさせていただければと思います。
運動するってとっても大事!これを読むと、運動しなきゃ!って思うかも!
加齢による筋力の変化とは?
年齢を重ねていくと筋力が落ちるよね、っていうのは皆さんご存知の通りです。
でも実際、どのくらい筋力が低下するよね、っていうのはイメージがしづらいですよね。
歳をとっていくと筋肉が弱くなりがちなんだけど、イメージできますか?
筋力が落ちるのなんて当たり前じゃん!
でもどこの筋肉が弱くなるとか、どんな違いがあるかとかは知らないなぁ。
こんな報告があるので、この報告から考えられることを紹介していきますね!
体幹筋における加齢変化
成人女性の腹筋(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)の厚さを比較した報告があります。
Age-related changes in the thickness of the deep and superficial abdominal muscles in women
https://doi.org/10.1016/j.archger.2012.03.007
この研究では、自立して歩くことができる103人の健康な成人女性の腹筋(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)の厚さを年齢ごと(青年期:20〜24、壮年期:25〜44、中年期:45〜64、准高齢期:65〜75、高齢期:75〜85)に比較しています。
この報告で明らかにされているのは、腹直筋→外腹斜筋→内腹斜筋→腹横筋の順番で年齢ごとに筋力が低下しているということです。腹横筋の筋力変化は年齢による変化が小さいようです。
座位保持能力に筋肉量は関係する?
どうやら体幹筋で見ていくと、筋力は加齢によって概ね低下するようですが、変化が少ないものもあるようですね。
では、なぜ腹横筋だけ筋力低下が少ないのか。これを比較した報告がコチラです。
Effects of age and inactivity due to prolonged bed rest on atrophy of trunk muscles
Ikezoe T, Mori N, Nakamura M, Ichihashi N. Effects of age and inactivity due to prolonged bed rest on atrophy of trunk muscles. Eur J Appl Physiol. 2012 Jan;112(1):43-8. doi: 10.1007/s00421-011-1952-x. Epub 2011 Apr 7. PMID: 21472438.
若年者と自立高齢者、寝たきり高齢者の体幹筋の筋萎縮について比較し、このような結果となっています。
若年者 VS 自立高齢者:腹直筋、内外腹斜筋、腹横筋、脊柱起立筋で筋力が低下
若年者 VS 寝たきり高齢者:全ての体幹筋群で筋力が低下
自立高齢者 VS 寝たきり高齢者:外腹斜筋、腹横筋、脊柱起立筋、多裂筋で筋力が低下
自立高齢者と寝たきり高齢者を比較した結果を見ると、特に腹横筋と多裂筋で筋萎縮が大きかったようです。
単純な加齢による変化は腹横筋では小さかったという先の報告と合わせると、日常的に座る習慣があるということが、腹横筋や多裂筋の筋活動を維持することにつながっているということが言えそうですね。
筋肉により萎縮の程度に違いがある?一年で筋肉は弱くなっちゃうの?
老人ホーム在住高齢女性を対象した報告で、1年間で筋肉が弱くなってしまうのかを追った報告があります。
Association between walking ability and trunk and lower-limb muscle atrophy in institutionalized elderly women: a longitudinal pilot study
Ikezoe T, Nakamura M, Shima H, Asakawa Y, Ichihashi N. Association between walking ability and trunk and lower-limb muscle atrophy in institutionalized elderly women: a longitudinal pilot study. J Physiol Anthropol. 2015 Aug 28;34(1):31. doi: 10.1186/s40101-015-0069-z. PMID: 26311527; PMCID: PMC4551471.
老人ホーム在住の高齢者というと、否が応でも活動量が減ってしまうことがイメージできますよね?身の回りのことをお世話してくれる環境に飛び込む、活動する範囲が限定されるようになる、というわけですからね。
この1年間にわたる報告で明らかになったことはは、大腿四頭筋の筋萎縮が著明(大腿直筋:28.3±25.0%、外側広筋:17.3±25.2%、中間広筋:19.8±26.4%)に認められたということです。
活動量の低下が筋萎縮に直結していることを示す結果となりました。大腿四頭筋の筋萎縮が歩行速度の低下率に関連性が高いということから、歩行速度から筋萎縮の推測することが出来そうですね。
ちなみに、他の筋力が低下していく中、腓腹筋だけはなんと筋肉が太くなっていました!寝たきりの方と比較した研究では腓腹筋も萎縮していたことから、太ももやお尻の筋力低下をカバーしているが故の結果と予測できそうですね。
まとめ
- 加齢によって、筋肉は弱くなる
- 使わないと筋肉は1年で文字通り半減してしまう可能性がある
- 歩く速さは筋肉の状態を知る上での指標になりうる
いかがでしたか?動くってとっても大事ですね。
少し前までこれ出来たんだから、今だってやれるはず!そう思うのは全然悪いことではないんです。ただ、実際ここまで筋力が低下することは研究報告によって明らかにされています。
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